~上級CPUへのこだわり~

結果的には過去最高の長寿になったPC-LL970DD同等品が3年でメインマシンの座を譲ったのは、酷使(特にフリーソフトのインストールとアンインストールの繰り返し)のあまりに処理速度が激しく低下したからでした。レジストリのクリーンナップなど、各種の高速化ソフトもあまり効果がなくなりました。それより前に、売られている新製品はWindowsVistaになっていましたが、評判最悪のVistaを嫌って「買える時期」がくるまで我慢していました。

買える時期…というのは、VistaにSP(サービスパック)1が出るまでです。SPというのは、機能を追加したり不具合を修正したりするマイナーバージョンアップ版です。Vistaは当初「完成度がベータ版以下」といわれる状態だったので、SP1が出たらそれが修正されて動作が安定すると考えました。

そして、SP1が出て、さらに少し待って「型落ちの上位機種」を狙いました。それが、六代目メインマシンの、富士通FMV-BIBLO NF/A70Nでした。
FMVBIBLO NFA70N
※↑↑FMV-BIBLO NF/A70N。私の買った「ノートPC」の中で最も重く4kgを超える。そのぶん堂々とした姿で、高性能を求めたのでVistaも難なく使いこなせた。液晶の画質も最高だが、内蔵スピーカーの音質はノートPCにしてもひどく残念。

Vistaはとにかく動作が重いことで有名でした。それでも快適さを保つには、高性能でないといけません。しかし高性能にすると高価になります。そこで、型落ち品を狙いました。

CPUはCore2 Duo T9300(2.50GHz)で、メインメモリは4GBです。ノートPC用ではありますが、9000番台というのはCPUの型番としては最上位シリーズでした。WindowsVistaは32ビット版です。この当時はまだソフトウェアも32ビット用が主流だったので、OSだけ64ビットを買うとかえって不便だと判断しました。そして、32ビットのOSでは、3GBまでしかメモリを認識できません。3GBというメモリの選択肢は無いので、4GBを購入しました。32ビットOSとしては最大容量です。

さらに、1GBのターボメモリというものを追加しました。これは、HDDの読み書き(主に読み込み)を高速化するためのキャッシュメモリです。高性能を目指すことで、Vistaの最大限の「重さ対策」をしました。その結果、Vistaも特に重く感じず、体感ではXPとほとんど同じでした。

ここまで豪華装備で、値段は約13万円。すごくお買い得でした。


ところで、出張用のFMV-LOOX Uですが、持ち運びには最高でも、やはり小さすぎる画面と省略されすぎたキーボードで使い心地が悪く、もう少し大きくて普通っぽいものが欲しくなりました。使い道は、ネットの閲覧やYouTubeの視聴などに限定されるので、性能は度外視で安さ優先です。

その観点で選んだのが、当時人気だった「ネットブック」というジャンルのONKYO C205A3でした。
ONKYOというのは音響機器メーカーとしては老舗ですが、PCについては、SOTECを吸収して参入しました。つまり「旧SOTEC製」です。
C205A3
※↑↑ONKYO C205A3。閉じると光沢純白、開くと黒、サイドに赤いラインというセンスの良いデザインだが、Windows7を使うには性能が不足しすぎた。まだXPのサポートが延長されていたので、これがXPマシンなら快適だろうに…と思わずにいられない。

画面はネットブック主流の10.1インチ、OSはWindows7 Starterで、私にとって初のWin7マシンでした。「Starter」は、同時に開けるウィンドウが3つまで、壁紙の変更ができないなどの機能制限付きバージョンで、非力なCPUでも動く仕様です。CPUはまさに非力で、Atom N270(1.60GHz)という、Atomの中でも初期型です。メモリも1GBと最低限でした。重さは960g。

ネット閲覧程度には支障のない画面サイズと、小さめながら標準的な配列のキーボード、それに私はデザインが気に入りました。外観は光沢の白、開くと黒、サイドに赤いラインが入っています。ボディーは薄くてフラットなのでスタイルも良く、鞄にも入れやすい形状でした。よく見ると作りそのものは雑な部分もありますが、パッと見には高級感があります。値段は2万7000円という激安でした。
ストレージが32GBのSSDで、SSDを使うことで非力なCPUをカバーしていますが、容量が小さすぎるので常に16GB(のちに32GB)のSDカードを挿入して、データエリアにしました。

ところが、予想以上に非力で、ネット閲覧にも支障があるほどでした…。MP3の音楽すら、ときどき音飛びするほどです。WindowsXPならこの性能でも良かったでしょうが、Windows7だと、OSそのものを動かすので精一杯でした。


メインのFMV-BIBLO NF/A70Nも、最初は快適でしたが、Vistaのせいか2008年の購入から2年で不安定化します。動作の重さは性能で克服できても、頻発するフリーズに加えて3日に1回はブルースクリーンが出る始末で、いつ死ぬかわかりません。しかしまだメインマシンの交代はしたくなかったので、いざという時に困らないよう、ワンポイントリリーフ用のマシンを選びました。

これを急いで買った理由のひとつに、東日本大震災がありました。大震災で物流が停滞する可能性を考え、物流網が生活必需品優先に割り振られたら、必需品でないパソコンが入荷しなくなる可能性があると考えました(実際にはそういう現象は起きなかった)。

あくまでワンポイントですから安さ優先です。メインマシンの選定には時間がかかるので、つなぎのためのマシンです。とはいえ、メインの代理なので十分な機能性も必要です。性能面では妥協しても、まったくの度外視はできません。厳しい条件ですが、あっさり決まって飛びついたのが、lenovo IdeaPad G475 436022Jでした。3万2000円という安さで、メインマシンのリリーフが可能です。
G475
※↑↑IdeaPad G475。メインマシンのリリーフとして買ったものの出番なく…と思ったら、後から大いに出番が訪れた幸運PC。目立つ特徴や飾り気はないが、必要な部分を押さえてある。Win7サポート終了まで活躍。

画面が14インチとやや小さく、CPUはAMD Dual Core E-350(1.60GHz)という低価格モノですが、一応デュアルコアだし、AMD製なのでintel製品に比べるとグラフィック性能が重視されています。メインメモリは2GBで、小さいが許容レベル。OSはWindows7 Homeの32ビットです。

lenovoはIBMのPC部門を吸収したせいか、キーボードが非常に打ちやすくできていました(もともとIBMはキーボードが打ちやすいことで有名だった)。性能面でやや我慢があったり、液晶の色味に少し偏りがあって調整したものの、DVDマルチドライブを装備し、格安で十分な機能をそなえていて満足できました。これほどコスパの良いマシンはないというくらいでした。

ところが、この代替マシンを買った直後に、なぜか何もしていないのにメインマシンのBIBLO NF/A70Nが安定を取り戻します。ブルースクーリーンも出なくなり、フリーズもほとんどなくなりました。そうなっては代替の出番はなく、買ったとたんに不要になるという不運に見舞われました(のちに復活する幸運が訪れます)。


ところで、時代はすでにWindows7です。Windows7は完成度が高く人気がありましたが、私にとっては、まだWindowsXPを捨てられませんでした。XPマシンをできるだけ長く持ち続けたいことから、店頭でもネットでも新品がほとんど消えた最終期、2012年になって、私は「最後のXPマシン」を購入します。

ビジネスモデルの、東芝dynabook Satellite L35 220C/HDです。値段は約5万5000円。性能が低いわりに高価ですが、これはXPマシンにプレミアがついたのか、やや価格上昇した結果でした。
SatelliteXP
※↑↑dynabook Satellite L35。「メインXPマシン」として、現在も現役で使っている。飾り気は最初から求めていないが、天板の巨大なTOSHIBAロゴはパソコンそのものが広告じゃないかと思うほど無粋。

CPUはCeleron900(2.2GHz)のシングルコア、メモリは1GBと絶対値としてのスペックは低いですが、なにしろ動かすのがWindowsXPなので、これでも非常にハイスペックです。
ビジネスモデルなので野暮ったい代わりに堅牢性は抜群で、また、ちょっとでも揺れたらHDDへのアクセスを停止して保護します。画面も地味ながらLEDバックライトでも蛍光灯のように目が疲れにくく(デフォルトでブルーライトが低減されている?でもその割に発色が偏っていない)、目立たないところがしっかりしている堅実モデルです。本体も必要以上に分厚くできていますが、見た目よりも頑丈さと排熱を優先したデザインであることがうかがえます。
ただ、天板のど真ん中を占める巨大なTOSHIBAロゴだけはやめてほしいレベルで、「質実剛健」という印象すらわざわざぶち壊して、みっともない状態になっています。


最後に、今回紹介したマシンのその後をまとめておくと…

メインマシンのFMV-BIBLO NF/A70Nは、結局購入から4年後の2012年に限界を迎え、次のメインマシンにその座を譲りました。私の新規購入の目安が3年なので、結果的には長くがんばったことになります。
メインの座をおりてからは、Windows7にアップグレードして、動作が安定しました。ドライバの非対応で指紋認証やターボメモリは使えなくなりましたが、Vistaより動作の軽い7はかえって快適に動きます。ただ、重量4kg超とノートPCとしては重く、「サブマシンとしての使い道」には恵まれませんでした。蛍光灯バックライトの液晶はLaVie LL970DDに匹敵する美しさで、使わずにいるのは惜しい存在でありながら使わずにいます。

モバイルのONKYO C205A3は、デザインが非常に気に入っていたのに性能があまりにも不足して、短命なまま次回紹介するマシンにその座を奪われます。

買ったとたんに出番を失ったメイン代替のIdeaPad G475ですが、思わぬ復活をとげました。私の出張ラッシュがなくなり、ときどき近場に持って行く用途のPCが必要になってくると、ひとまわり小ぶりのボディーがちょうどよく、しかもひととおりの動作をこなしてくれるのでとたんに脚光を浴びました。2011年購入でお蔵入りでしたが、2014年あたりから急に目立って「サブマシン化」します。結局、2020年1月にWindows7のサポートが終了するまで活躍しました。性能こそ最低限ですが、活躍の度合いに値段の安さを考慮すると、私のPC歴で最高のコストパフォーマンスマシンになりました。

最後に東芝dynabook Satellite L35ですが、現在、XP用ソフトのために完全に現役です。2012年購入で間もなく8年ですが、全く不具合がありません。あと数年は使えそうで、「XP環境の最終保存」の役割、見事に果たしてくれています。
XPマシンなら、NECのPC-LL550/4Dも動きますが動作が不安定だし、SOTECのWinBook WS5000-Sも使えますが作りが雑で画面もよくないので、やはりdynabook Satellite L35が最良です。