なぐものCHOTお話しブログ

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最近の韓国の挙動は不可解なことばかりです。「徴用工判決」では、日韓関係の開始地点である日韓請求権協定、日韓基本条約を事実上反故にしました。慰安婦問題も財団を解散し、合意は事実上の破棄状態です。韓国はもともと特に第二次世界大戦の話になると最大の反日国ですが、それにしても最近の行動は異常です。

ところで、韓国経済は今、崖っぷちの状態にあります。

サムスン電子を筆頭としてLG電子など、半導体関係の企業が強力なのであまり目立たないかもしれませんが、経済的には破綻寸前です。理由は、巨大な個人負債です。日本では、よく「一世帯あたりの平均貯蓄額」などの統計があって、貯蓄をいくら持っているかが、所得額と並んで豊かさの目安です。当然ながら、貯蓄額(債権)が目安になり得るのは、貯蓄(債権)>借金(債務)というのが大前提です。

家を買った直後とかならともかく、借金よりも貯金のほうが多いことが「通常」と思うからこそ、貯蓄額で豊かさを比較できるわけですが、韓国では、個人レベルでは貯金より借金がはるかに大きいのが当たり前の状態になっています。

日本の場合、「国の借金」がよく問題になります。しかし国にお金を貸しているのはほとんどが日本国民です。細かい説明は省きますが、外国は日本が経済破綻するとは見ていません。日本は個人の貯蓄が多いうえ、国家としても世界一の債権国だからです。
世界的に経済・金融の不安が起きたとき、金利がゼロなのに円高になるのは、円が「安全通貨」だからです。昔は「有事のドル」と言われ、いざという時にはリスク回避のためにドルが買われたものですが、現代は「有事の円」の時代です。

韓国の通貨ウォンにはそんな信用力がありません。世界的な危機が起きたとき、ウォンは売られる通貨です。ウォン安というのは、輸出に依存する韓国経済にとって有利ですが、通貨が過剰に下落すると韓国自体の「資産価値」が目減りするため、逆に打撃になります。これが行き過ぎると悪性のインフレーションとなり資本逃避が起きます。こうなると国家的に経済破綻をきたします。

普通、それを回避する手段は金利を上げることです。預金するときに利息の低い預金よりも高いほうが人気があるのと同じで、国家的に金利を上げればウォンが買われるようになり、過剰なウォン安を防げます。しかし今、韓国はその方法を使えません。個人負債が大きいので、金利を上げると一般国民の借金が膨れあがり、次々と破産するからです。個人が破産すれば、個人にお金を貸している銀行は、貸したお金を回収できなくなります。すると次は銀行が不良債権を抱えて倒産することになり、企業の連鎖倒産、経済恐慌という流れになります。
だから今、韓国は、通貨防衛のために金利を上げるという「常套手段」が使えません。

文在寅大統領は、左派政権らしく、最低賃金を引き上げました。最低賃金を上げれば、特に低所得層の所得が増えます。そうすれば、あるていど個人の借金苦が緩和されますから、韓国経済の時限爆弾になっている個人負債の問題が、それなりに軽減できるはずでした。

ところが、急激かつ大規模すぎる最低賃金の激増が、完全に裏目に出ています。賃金上昇は、もらう人には嬉しい話ですが、払う企業はたまったものではありません。サムスンのような大企業はまだしも、基盤の弱い小企業・零細企業は、社員の給料を払えなくなってきました。小企業は利益を上げられなくなり、ついに倒産です。会社がつぶれたら、社員も失業です。こうして失業率が上昇し、低所得層の所得が増えるどころか、倒産やリストラで失業して所得ゼロになる国民が増えています。そこまでいかない人も、時給の人が労働時間を削られることで所得が減りました。

韓国政府は「困った時の反日政策」で、どの政権も失政を国民に責められるようになると、反日ナショナリズムで支持をつなごうとしてきました。李明博政権などはその典型だったでしょう。しかし、文在寅大統領の反日はそれだけでは説明できない異常さで、また、そこまで反日に頼るほど支持率も下がっていません。当初に比べると暴落したとはいえ、まだまだ危険水域ではありません。また、現在は本来ライバルとなるはずの自由韓国党など保守系野党の勢力が弱く、そのぶん大統領の支持率が下がっても余裕が残ります。

それなら、極端な反日政策はどこから来るのでしょうか。

韓国の左派政権というのは、親北(北朝鮮に融和的な)政権のことです。文在寅大統領も、南北関係の改善に奔走しています。一方、北朝鮮の金正恩委員長は、核兵器を放棄する気があるのやら無いのやら、たとえ放棄するとしても、できるだけ高値で売ろうとしています。

文在寅大統領は、本当に核を放棄するかどうかも分からない北朝鮮に接近し、国連の経済制裁を破るような南北経済協力を進めています。北朝鮮が核を放棄するとしたら、お金に困って放棄するか、アメリカの軍事力が怖くて放棄するか、どっちかしかありません。その北朝鮮を資金面で救ったら、核を放棄しなくなります。本当に軍事力を使うのは、アメリカにとっても困難極まりない手段なので、経済的に締め上げて放棄させるというのがアメリカの方針です。これは、程度の差こそあれ、オバマ大統領もトランプ大統領も共通しています。

トランプ大統領が歴史的業績だと宣伝した米朝首脳会談は、北朝鮮が核を放棄してこそ業績になります。放棄しなければ茶番劇に終わります。その北朝鮮の核放棄を邪魔する文在寅大統領に、トランプ政権は相当怒っているようです。最近では、「米韓同盟がいつまでもあると思うな」的なメッセージも発しているようです。

アメリカは、太平洋とインド洋を「1つの海」と見なす政策に転換しつつあります。これはもちろん対中国が念頭にあります。太平洋とインド洋を1つとして見たとき、その中間にあるのが南シナ海です。中国が南シナ海の支配を強化している今、アメリカは太平洋とインド洋を1つの連続した海と見て、その途中を中国に「分断」させまいとしています。

この政策には、インド洋の大国・インドとの協力が必要です。そこでアメリカは、日本、インドと連携して3カ国、あるいは南太平洋を占めるオーストラリアを含めた4か国(中国が南太平洋にも進出しているので)を軸とした同盟関係を構築しつつあります。

日米印豪で対中包囲網を作る。実はこれ、ずっと昔に1年で崩壊した第一次安倍内閣の政策です。この「4か国同盟体制」は、当然、日本も積極的に賛成しているはずです。

つまり、日米両国は、日米印豪という新しい枠組みを作りつつあって、「日米韓」の枠組みはほぼ捨てています。韓国が反日をしたり、アメリカを怒らせることをすることで、日米はすでに「韓国切り」を始めているのです。

韓国の外交は昔から、「東アジアのバランサー」を目指してきました。具体的には、米中2国の間にあって両方と仲良くし、仲介役を務めることで存在感を維持する方針です。アメリカべったりの日本とは違います。韓国は米中どちらにもべったりにならず、ただ右派政権の時はアメリカ寄り、左派政権の時は中国・北朝鮮寄りという違いでした。

ところが、中国が力をつけてアメリカに対抗を始める一方、トランプ大統領が厳しい対中政策に出ることで、米中間の対立が非常に深刻なレベルに達しています。もはや、「両方と仲良くして…」が通用しない状況になっています。

文在寅大統領は、韓国の「左派中の左派」です。極左的と言ってもいいかもしれません。両方と仲良くできない場合、文在寅大統領が選ぶのは、アメリカではなく中国と北朝鮮なのです。
しかし韓国人の多くはそれに抵抗があります。韓国は民主国家です。中国や北朝鮮とは価値観が合いません。北朝鮮とは同じ民族という連帯感があっても、中国に対してはそれもありません。韓国人の多くは、政治体制や文化の面で、アメリカや日本に親しみを持っています。

もし文在寅大統領が、アメリカや日本と縁を切って中国と北朝鮮を選ぶ、と言えば、支持率は一気に壊滅的に暴落するでしょう。一般的な韓国人は、日本に対して過去のわだかまりはあっても縁を切るほど嫌っているわけではなく、過去は許せないが未来は仲良くしようというスタンスです。ましてアメリカには過去の恨みもありません。

文在寅大統領が、日米と縁を切って中朝を選ぶとすれば、日米が理不尽に韓国と絶縁したので中朝側についた、という形にしなければなりません。

日本に対しては、慰安婦や徴用工の問題を煽れば、簡単に日本を悪役にできます。そして日本や日本企業に賠償を求めれば、拒否する日本側との外交闘争に発展し、「軍国主義礼賛の日本帝国がついに本性を現した」というナショナリズムを高められます。

アメリカに対してはそこまで簡単にいきませんが、「トランプが自分の利益のために南北関係を分断した」と言えます。現にアメリカは、韓国が国連決議や米韓の合意を無視して北朝鮮に接近することを怒っていて、「北朝鮮と離れろ」と言っていますし、トランプ大統領の旗印は「アメリカ第一主義」です。アメリカが、アメリカ第一主義のために民族を分断し、平和を破壊した、という形にできます。

前の記事に、米中の覇権争いについて書きましたが、韓国は中国側につく、ということです。いや、さすがの文在寅大統領も、アメリカと縁を切って韓国が成り立つとは思わないでしょうから、アメリカを無視はできません。結果、米中の間で中国に寄りながらもフラフラと一貫性のない外交になっています。
ただ日本はアメリカに比べると重要性が低くなるので、日本との外交はほとんど放棄した状態です。

それでも、当然ながら、韓国にとって日本は無視できない相手です。アメリカほどでないにせよ、韓国よりも国力の大きな日本を無視できるわけがないのですが、文大統領はもはや無視状態です。

韓国はおおむね日本に対して強硬で、特に過去の問題がからむと超強硬になります。しかし、そんな韓国のマスコミでさえ、慰安婦財団を「解散」まですることや、徴用工問題に対する大法院(最高裁)判決は、「本当にこれでいいのか、行き過ぎではないのか」と指摘しています。
多分にこれは、韓国の一般国民の意図と離れた、文在寅大統領の暴走に見えます。ただ韓国人の立場では、慰安婦にせよ徴用工にせよ、日本との外交関係が破綻することを恐れるのであって、メンタルとしては文在寅大統領に共感するところが大きいでしょう。それは身勝手ですが、身勝手がもし実現するなら、それが一番嬉しいに決まっています。

もちろん現実はそうはいきません。崖っぷちにある韓国経済はいつ破綻するかわからないし、慰安婦も徴用工もすんなり思い通りに日本が動くわけがありません。おそらく、これらの大問題は、文在寅大統領の任期中にどうにかなる問題ではありません。文在寅大統領の任期は2022年5月までで、韓国大統領は1期5年のみ、再任はありません。

日本は韓国に経済レベルで対抗措置をするでしょうが、2022年5月で文在寅政権が終わることは当然、計算しているでしょう。日本にとっても、韓国との絶縁状態は利益になりません。日本と慰安婦合意を結んだ朴槿恵大統領は自由韓国党出身ですから、もしも次に自由韓国党が政権をとれば、合意が復活する可能性があります。ただ、そのためには文在寅大統領の次が同じ「共に民主党」出身ではいけないので、共に民主党が国民の支持を失うよう、韓国に打撃を与えようとするでしょう。

一方で、韓国全体が文在寅化すると日本も困ります。朴槿恵大統領は慰安婦合意を結んだうえ、徴用工問題にもフタをしてきましたから、慰安婦、徴用工、いずれも自由韓国党の大統領とは話し合いの余地があります(譲歩の余地はありませんが修復の余地はあります)。日本は、出来るなら文大統領を無視し、共に民主党政権の韓国に適度な打撃を与えて支持を失わせ、次の大統領を自由韓国党にすることです。韓国の態度に対し、日本の態度がいまいちもどかしいのは「左派政権に打撃を与える力加減」を考慮するからでしょう。韓国全体に打撃を与えすぎると、今はまだ自制的な一般の韓国国民まで「文在寅化」しかねないからでしょう。

ただ、2022年はまだかなり先の話ですから、状況を見てそれまで待てなければ、日本は本当に、韓国切りを実行するでしょう。文在寅大統領と韓国のマスコミ(右派左派あって色々ですが)のズレを考えれば、現段階で日本は韓国と決定的な訣別をするよりも、次期政権に「最後の望み」をつなぐほうを選ぶことが得策と思えます。今は相応の打撃を返して、慰安婦・徴用工の現在の流れでは「ヤバイ」ことを、韓国国民に伝える必要があります。

日本が考えなければならないことは、今後の東アジアの秩序全体であって、日韓関係だけではありません。日本が望むことは、従来どおりアメリカのパワーを基軸に、中国の進出を抑制し、北朝鮮に核を放棄させ、アメリカとの協調のもとに東アジアの中核を占めることです。その中で日韓関係を考える必要があります。従来の「日米韓」から、「日米印豪」にシフトするとき、相対的に韓国の比重は軽くなりますが、険悪になりすぎることは日本の利益にも合致しません。感情論でもって、日本が5の打撃を受けてでも腹立たしい韓国に10の打撃を与える道ではなく、日本の利益を最大にする道を選ぶことが外交の目標です。

日韓関係が急激な断絶に向かえば、日本よりも韓国のほうが大きな損失を被ることは言うまでもありません。しかしそれでも日本にもかなりの損失があります。文大統領が劇的に態度を変えない限り、今の韓国とは対立せざるをえませんが、ベストなのは2022年まで決定的な断絶を避けながら、次期政権を待つことでしょう。
もどかしくても、外交は感情ではなく利益なのです。

私は自称「中道右派」です。そして「現実主義的な右派」も自認しています。

外交方針をめぐっては、アメリカがオバマ大統領だった時代から、例の議論板でずいぶん議論してきました。トランプ大統領の出現は予想外でしたが、日本の取るべき基本方針は変わりないと思っています。


まず、外交方針を考えるには、世界情勢を見なければなりません。
多くの人が指摘するように、今後の世界はしばらくの間、アメリカと中国を軸に展開するでしょう。

これは、中国が勢力圏の拡大を諦めない限り続きます。現況、アメリカが世界を席巻していますから、中国が拡大するということは、アメリカが押されて縮小することを意味します。アメリカが世界で手にしている既得権を手放すわけがないので、中国が拡大志向を続ける限り、米中の覇権闘争が続きます。

日本はアメリカの同盟国ですから、この覇権闘争でアメリカが勝利してくれないと困ります。

日米の同盟は、決して対等な同盟ではありません。日本がアメリカに従属させられていることは、誰の目にも明らかでしょう。それは面白いことではありません。しかし、日米の国力差、経済・軍事的な格差を考えると、この不平等同盟はやむを得ないものです。

現実の国力差から目を背け、対等な関係を実現しようとしてアメリカを排斥することは、日本の国益になりません。対等になることは理想ですが、非現実的です。ただし対等を目指すことは、長期的な目標には違いありません。

米中の覇権闘争の中で、仮に中国が勝利すれば日本は窮地に陥ります。

日本と中国はともに大国ですが、地理的に近すぎます。仮に中国がアメリカに勝った場合、中国は強敵のアメリカを潰すまで戦い続ける必要はなく、アメリカもそこまで無理に戦う必要はありません。両国は地理的に離れているため、住み分け可能です。しかし日中はあまりにも近すぎて、住み分けできません。中国がアメリカと肩を並べる覇権国家になる以上、日本をその勢力圏に飲み込む必要性があります。

一方、アメリカとアジアは離れているため、アメリカが世界で覇権を維持するには、アジアに拠点となる友好国が必要です。米ソ冷戦時代にも、日本はアメリカにとって、ソ連牽制のために必要な存在でした。必要な存在は、逆らえない範囲であれば、そこそこの力を持たせておくほうが役立ちます。無力では役立ちません。こうして日本はアメリカの従属同盟国として生かされてきました。

しかし中国が覇権を握った場合、中国にとって日本の存在価値はありません。あまりにも近いので、中国「本体」の勢力が十分に及びます。むしろ、日本が力を持っていると、中国が太平洋に出て行く「障壁」になります。ですから、中国が世界的な覇権国家としてアメリカと肩を並べる時、日本は中国の手によって徹底的に無力化されることになります。

日本は米中闘争で、アメリカに勝ってもらう必要があるのです。


日本は米国側の一員として中国と対峙する必要がありますが、ここで大きな変数となるのがロシアです。
ロシアは中国の友好国です。また、経済的にこそ衰えたといえども、軍事的にロシアはアメリカに次ぐ超大国であり、中国をも上回ります。もちろん軍事的には日本を大きく上回ります。
「中国の経済力と、ロシアの軍事力」この二つが融合すると、このうえない脅威となります。

しかし幸い、この二つは融合しません。ロシアと中国の友好関係は、「アメリカ一極集中を抑える」という対米牽制、そして両国の軍事的資源を効率的に配分する目的で成り立っているからです。

かつてロシアは世界の中心でした。米ソ冷戦時代、アメリカと対等な、あるいはアメリカを上回るかもしれないパワーの持ち主としてソ連が君臨していました。そのソ連の覇権を受け継ぐのがロシアです。もっとも、ソ連崩壊によって、ロシアの覇権は見る影もなく縮小しました。それでも世界第二の軍事大国です。

ロシアは経済規模が小さいので、今さらアメリカを追い抜くことは不可能です。しかし、米ソ両国で世界を分けた誇りがあります。追い抜くことは不可能でも、大きな差をつけられていくことは許容できません。アメリカに従属することはプライドが許しません。アメリカの対抗馬として世界で大きな影響力を保ち続けるには、「反米」で中国と協調することが、唯一の選択肢といっていいでしょう。

さらに、今後拡大できない、むしろ縮小に向かうロシアの軍事力を、欧州とアジアの二正面に展開することは負担が大きすぎます。ロシアにとっての「正面」はあくまで欧州であり、アジアが「背後」であるからには、背後にできるだけ力を割きたくないはずです。その意味でも、ロシアは中国との安定した関係を必要としています。

では、中国にとってロシアはどんな存在でしょうか。

今の中国は、軍事力でアメリカに及びません。ロシアにも及びません。そんな中国が、アメリカと対等に渡り合おうとする限り、強力なパートナーを必要とします。そこでロシアとの協調が必要です。さらにロシアの「正面」は欧州ですが、中国の「正面」は東アジア・太平洋方面です。

中国もロシアも、単独ではアメリカと勝負できないので、力を合わせる必要があります。また、中露は隣国で長い国境線で接しており、ロシアにとって中国、中国にとってロシアは、ともに軍事的資源を配分したくない「背後」に位置しています。アメリカに対抗するためにも、互いに力を向けたい方向に重点配分するためにも、中露国境はおだやかでなければなりません。両国の利益は一致しています。

しかし、仮にですが中国がアメリカに勝利し、アジアの覇権を獲得したらどうなるでしょうか。

その時、中国にとってロシアは「必要のない存在」になります。むしろ、軍事大国が長い国境線を接していることは脅威になります。中国は、ロシアと協力してアメリカのパワーを撃退したら、その次は、獲得した覇権を安定させるためにロシアのパワーを撃退することが、必然的な課題となります。

中国がアメリカに勝利して西太平洋の覇権を確立した場合、その向こうのハワイ・東太平洋・アメリカ大陸本土まで力を拡大することよりも、ユーラシア大陸での地位を拡大することが優先的な課題となります。その時に、ロシアは中国にとって必要ないばかりか、その軍事力が邪魔な存在になってしまいます。

裏を返せば、ロシアの立場ではそうなっては困るということです。
ロシアは、アメリカを抑え、自国の影響力を維持するために中国との協調が必要ですが、中国がアメリカに勝ったら困るのです。ロシアにとって最善は、米中どちらも勝たずに拮抗を続け、その中で影響力を維持することです。

もし、アメリカが勝てば、ロシアは屈辱的ながらもアメリカ中心世界でアメリカに敵対しない範囲で生きていけるでしょう。しかし中国が勝てば、ロシアは次に叩かれる標的になります。ロシアの国益として、最善なのは米中どちらも勝たないことですが、どちらかが勝つならば、近い中国よりも遠いアメリカが勝つほうがマシなのです。

中国にとって最も強力な友好国ロシアですら、中国の覇権を歓迎することはありません。ですから、中国の経済力とロシアの軍事力が一体化することはありません。

中国の拡大を喜ばないのは、歴史的に対立しているインドも同じです。
日本はアメリカやインド、オーストラリア等と連携しながら、アメリカ中心の世界秩序を維持することが国益になります。そしてロシアも、必ずしも敵ではありません。中国の覇権が実現したら生存空間を奪われるという意味では、日本とロシアは共通しています。ただロシアは、アメリカの覇権も喜ばないという違いはありますが。


アメリカ中心の世界秩序が維持された場合も、その秩序は永遠ではありません。
現にアメリカ自身が、最盛期を過ぎ去った国であり、ゆるやかな衰退期に入っています。

トランプ大統領の出現は意外でした。しかし、トランプ大統領の登場は、アメリカが衰えている証拠でもあります。トランプ大統領は「アメリカ第一主義」を掲げていますが、誰が大統領であろうと、アメリカの大統領がアメリカの利益を第一にするのは当たり前です。

政策上、長期的視点に立ってゆるやかに「アメリカ第一」を目指すか、短期的に強硬策で「アメリカ第一」を獲得するか、その手法の違いにすぎません。トランプ大統領はもちろん後者です。

アメリカ第一という、アメリカ大統領なら当然誰でも選ぶ道を、あえてキャッチフレーズにして、強硬策で短期的な、目先の利益の獲得に走ること。そして、そんな人物が支持され当選したこと。これこそが、アメリカ国民が衰退への不安や焦りを抱き、既得権の喪失を恐れていることを表しています。
世界一強いアメリカが、目先の強さを求めること自体が、その「強さ」が翳り始めていることを示しています。

アメリカは中国との覇権闘争には勝つでしょう。それは、下り坂とはいえ今はやはりアメリカのほうがずっと強大であることや、中国が覇権を握ることを歓迎する国が無さすぎることが理由です。アメリカに目の敵にされている一部の国を除けば、大半の国は、秩序の変更よりも現状の安定を望んでいます。混乱に耐えてまで、アメリカの覇権を排除し、中国の覇権という未知の秩序に委ねるほどまでアメリカを憎む国は少数です。

しかしそれでも、アメリカは今後、縮小していく運命は避けられないでしょう。アメリカの歴史は、覇権主義と孤立主義のせめぎ合いでもあります。今、トランプ大統領が強硬な覇権主義に乗り出していますが、これは国際協調を度外視した一国主義という面では、孤立主義の始まりという見方もできます。

トランプ大統領の政策が成功しても失敗しても、21世紀中盤には、アメリカ自身が世界を席巻する力を失い、孤立主義的な方向に回帰するでしょう。アメリカの力は、アメリカ大陸を中心に、ヨーロッパと東アジアに「多少の」影響力を維持するほどに後退すると予測します。

そして、アメリカに代わるような世界的超大国は、出現しません。それを目指す中国が、実現前に挫折すれば、世界的超大国は当面現れないでしょう。

そうなると、世界的超大国ではなく、地域的大国の時代が訪れます。
アメリカは当然、地域的大国の筆頭として残るでしょう。ヨーロッパは、ドイツやフランス、またはイギリスが核になりそうです。南アジアの核はインドでしょう。

問題は東アジアです。候補が、日本と中国、二つ残ります。

中国は、たとえ米中の覇権闘争に敗れたとしても、大国であり続けるでしょう。ただ、その政治体制が共産党一党によるものか、民主化するのかは分かりません。しかしどちらにせよ中国は大国であり続けます。

ロシアはよほどのことがない限り、弱体化が避けられません。ロシアの覇権は軍事力に依存していますが、それを支える経済力がありません。ソ連時代の遺産が大きく、今は軍事大国ですが、経済的裏付けのない軍事大国はいずれ衰退します。ロシアは経済規模と軍事規模があまりにもアンバランスで、徐々に、経済の身の丈に合った軍事力しか維持できなくなります。

日本も、少子高齢化など課題は山積しています。しかし急激に衰退するほどの要因は見当たらず、中国とともに、東アジアの核であり続けるでしょう。

そして、英・独・仏のような国なら「共同で地域の核」になることも可能ですが、日中は共同の核になることができません。政治体制が違いすぎるからです。仮に中国が民主主義国になれば、可能性は無きにしもあらずですが、現在の体制である限り日中はどうしても、共存よりも競争の関係になります。


そこで、日本が目指すべき道は、現在アメリカが握っている勢力圏の「禅譲」です。

アメリカとしては、自国で覇権を握り続けるパワーがあれば、それに越したことはありません。しかし、国力が縮小して東アジアから撤退しなければならなくなったとき、そこに巨大な「力の空白」が生まれます。その空白を狙っているのが中国です。しかしアメリカとしては、覇権を争うライバルに奪われるよりは、友好国に譲るほうが利益になります。
中国に覇権を奪われたら、アメリカの影響力が排除されてしまうのに対して、日本に覇権を譲った場合は、日本を通じてアメリカの影響力を少なからず維持できるからです。

日本は、アジアにおけるアメリカの影響力を担保するかわりに、地域の中核国家としてアメリカから「禅譲」を受け、日米同盟を通じてアメリカの「後ろ盾(もちろん今ほど強力ではない)」を得続ける、という道を選ぶべきです。

また、こうすることによって、冒頭にあげたアメリカに対する日本の従属性が薄くなり、より対等に近い関係が構築できます。日本がアメリカから「独立」するのは、アメリカとの闘争によってではなく、いずれ来るアメリカ自身の撤退に際して、両国の国益を一致させる形で行われるべきです。

日本の国力も将来的に不安があります。ですから、理想は中国が民主化し、ヨーロッパの英独仏のように、日米中で共同して東アジアの核になることです。しかし中国が現体制であればそれは難しいので、アメリカの「禅譲」を受けて日本が核になることを目指すべきでしょう。

言い方を変えれば、
「アメリカ自身がアジア・西太平洋地域で勢力を維持できない以上、その勢力圏を中国に奪われるよりは、日本に譲ったほうがアメリカの国益にかなう」
…将来アメリカがそう決断するような日米関係を構築することが、日本の外交に必要不可欠ということです。

日本は二度と他国を侵略する意志はありません。しかし、東アジア・西太平洋地域の核になるならば、それ相応の安全保障能力が必要です。

良し悪しは別として、最も実戦の軍事経験を積んでいるのはアメリカです。
日本は、アメリカの勢力が強固な状態で残っているうちに、そのノウハウを学ぶ必要があります。戦後の日本の武力否定主義は、アメリカが世界的超大国であるうちは有効に機能して、日本の軍事支出を抑制でき、経済成長に有用でした。しかし今は、「アメリカがアジアから引き上げる日」に備えて、その豊富な経験から多くを学び取る必要があります。

日米の共同演習はそのために必要です。日本に軍事のノウハウを伝授してくれる国はアメリカ以外に存在しません。たとえ従属同盟でも、今、それを学んでおかなければなりません。

仮に今、アメリカが中国の拡大を挫折させたとしても、将来アメリカがアジアから撤退したのち、日本が弱体であれば、いくらアメリカの「禅譲」を受けようともそれを維持することができなくなります。中国は近すぎる大国で、中国の覇権の下で日本は生存できません。

ですから、その日に備えて、日本はロシアとの関係も重要になります。アメリカが後退したとき、生存空間を奪われる危機に直面するのは日本もロシアも同じですから、日露の協調は将来的に必要不可欠になります。ロシアにとっても、現在「中国と協調してアメリカに対抗」しているのと同じように、アメリカが後退したときには、「日本と協調して中国に対抗」する必要性が生まれます。現在、中露の利益が一致しているのと同じ形で、将来は日露の利益が一致するようになります。

アメリカから多くを学ぶことと同時に、日露平和条約を結んでおくことが、将来への布石として必要です。

第二次世界大戦中に日本の工場等で働いた韓国人が、企業(今回は新日鉄住金)に賠償を求めました。
韓国の裁判所はこれまで、1965年の日韓請求権協定に基づいてこれを棄却してきましたが、今回、韓国の大法院(最高裁判所)は、新日鉄住金に対して1人1000万円の賠償命令を下しました。

これを機会に「元徴用工」らが同じ訴訟を起こせば、これが判例となって同じ判決になることが予想されます。

1965年に日本と韓国が国交を回復したとき、韓国は、第二次世界大戦に係る国家賠償・個人賠償の請求権を放棄し、その代わりに「賠償金」ではなく「経済援助」を受けるという形にしました。
名目は経済援助ですが実質的には賠償金という性質のもので、この経済援助によって韓国は急成長(「漢江の奇跡」と呼ばれる)し、現在の豊かさを築き上げました。

ここから見てもわかるように、今回の大法院の判決は、大きく2つの意味で理不尽な内容となっています。

第一に、放棄した賠償請求権を復活させたこと。
第二に、経済援助という名目の実質賠償金を受け取っているのに、二重取りしようとしていること。

そして、さらに大きな、というか最も大きな問題は、日本と韓国が国交回復した基本的前提を破棄する内容、ということです。
これが、個別問題である「慰安婦合意」とは全く次元の異なる部分です。

今回の判決は、日韓の国交の前提になっている土台をくつがえす内容なのです。


ネットの声を見ると、韓国との断交論が渦巻いています。
ただ、これで一気に断交というのは早すぎます。

なぜなら、これはあくまで「裁判所の判決」だからです。
断交云々のような外交レベルでの決定的な部分に言及するのは、その判決に基づき、具体的なアクション(差し押さえなど)が行われた時になるでしょう。


腹を立てるだけでなく、冷静に考えると、この判決が元で「災いが転じて福となる」可能性もあります。

今回の判決は、問題の一角のさらに隅っこが出ただけです。しかし、その隅っこに下された判決が今後踏襲されますから、次々と同じ賠償問題が起きると言われています。
そして、韓国の国内法に基づけば、新日鉄住金のように賠償命令を受けた企業が支払わない場合、その資産が差し押さえられることになります。

日本企業は素直に差し押さえられるまで待つでしょうか。

そんなことはあり得ません。当然、差し押さえられるような資産は、あらかじめ韓国国内から引き上げることになります。
問題の対象になっているのは、戦前の財閥のような巨大企業です。
日本の巨大企業が、あわてて韓国から撤退する、つまり空前の規模の「資本逃避」が予想されます。

企業側は、韓国から逃避させた資本を、日本に戻すこともあれば、別の国に移転させることもあるでしょう。その経費は馬鹿になりませんが、どうにかなります。

一方で、大規模逃避された韓国のほうが、経済的に大打撃を受けます。日本の資本は大きいですから、それがこぞって逃避すれば、通貨ウォンの信頼度が落ちます。輸出に有利に働く下落ではなく、信用度の低下による悪性の通貨下落です。韓国経済はただでさえ崖っぷちですから、これを引き金に、ハイパーインフレに陥る可能性も否定できません。

日本企業の逃避だけなら打撃はまだ限定的ですが、経済の恐ろしさは、逃避の連鎖を起こすことです。つまり、徴用工問題とは何の関係もない外国資本も、韓国内にいることで資産価値が目減りすると予想すれば、次々と逃避することです。日本企業の逃避だけなら限定的でも、それを引き金に無関係の国の資本も、損失回避のために逃避の連鎖を起こす、これが経済の怖さです。

韓国国内にある資産なら、国内法で差し押さえられますが、国外に逃避した企業に支払わせるとなると、外交しか方法がありません。日本政府がそれに応じるはずがないので、もたらされるのは、外交的な対立です。

外交的に対立している間にも、韓国経済は日本企業に「干されている」状態が続きます。
つまり今回の判決は、韓国の自殺行為になるわけです。


日本政府が韓国に対して制裁等の措置をとらなくても、日本企業が一斉に韓国から撤退するだけで韓国は致命的に近い打撃を受けます。日本政府も当然、それに加えて、韓国に圧力をかけます。上にも書いたとおり、これは「日韓の国交が存在する前提条件を否定した」わけですから、日本も甘い対応ができません。国交が存在する前提が崩された状態ですから、弱腰対応はしたくてもできません。

韓国世論におもねって、文在寅政権はこういう判決に導いた側のようですが、結果責任をとらなければならなくなるのは、大法院でなくて政権のほうになります。

私がネットでいろいろ見た限りでは、韓国の世論も、今回の判決を支持する立場でまとまっているわけではありません。

保守系野党支持ながら、韓国国内で最も販売部数の多い朝鮮日報などは、前々から外交的不安を訴えていました。1965年に定められた外交の根幹をひっくり返すことは、韓国の一般国民が必ずしも諸手を挙げて支持しているわけではないのです。

急進左派を支持基盤とする文在寅政権は、数字上の支持率は高いですが、決して内実は盤石ではありません。

韓国は北朝鮮と戦争が起きることを極度に恐れています。
それは当然のことで、首都ソウルが北朝鮮の長距離砲の射程にありますから、もしも開戦したらソウル市民がどれほどの被害にあうか計り知れません。それは理屈抜きに怖いに決まっています。文在寅政権の支持率の高さは、北朝鮮との融和路線でそういう恐怖を遠のかせてくれた部分が大きく、その他の問題では、特にアメリカとの関係悪化に関して批判が多いのです。

日本との決定的対立と、経済の壊滅的打撃という状況に直面すれば、1日で吹っ飛ぶような脆弱な「高支持率」なのです。韓国には、衰えたとはいえ保守系野党がいまだ健在です。

何度も言うように日韓請求権協定の反故は、慰安婦合意の反故とはレベルが全く異なります。
50年間の日韓の外交関係を全否定することになるからです。

そんな無茶も、中国が小さな国に押しつけるように圧倒的な国力差で優位に立っていれば、ゴリ押し可能かもしれません。しかし韓国は経済的に日本よりも小さいのです。

ただ、問題が第二次世界大戦にかかわるということで、国際世論的に日本が不利なテーマではあります。ですから、日本としても感情的に不用意な対応をすると、思わぬ揚げ足取りに引っかかる危険が無きにしもあらずです。

日本が感情的にならずに、冷静に毅然とした対応をとれば、負けはありません。
そして、第二次世界大戦という日本の「アキレス腱」的なテーマで、韓国を折れさせることができれば、慰安婦その他のテーマにも日本の正当性が波及していきます。外交・経済レベルの闘争でも、大問題で勝てば、周辺的な小問題でも将棋倒し的に勝てるようになります。

そういう意味でも、今回の韓国での判決は、外交的に自殺行為になるものです。

日韓両方と同盟しているアメリカなどは、基本的に中立を保つでしょうが、北朝鮮問題で韓国がアメリカの努力を台無しにして怒らせている状態ですから、少なくともトランプは韓国の味方はしません。


アメリカ(トランプ)の「敵の本丸」は中国です。
トランプ政権が、北朝鮮をいったん脅迫しながら同時に融和姿勢に出たりしているのは、北朝鮮を中国からアメリカに寝返らせる策だと私は思っています。張成沢処刑、金正男暗殺という二連発で、中朝関係が脆弱になっている時ですから、トランプはアメとムチを使って金正恩を中国から引きはがそうとしているのだと思います。それは、北朝鮮が標的なのではなく、中国が標的だから取り得る作戦です。

ところが韓国はこのトランプのアメムチ作戦に反して、北朝鮮と一緒になってアメリカを説得しようとしています。アメリカが怒るのは当然のことです。

日本とアメリカの戦略目標は異なりますが、共通する部分が多いので協調関係を維持しています。そして、日米がともに「必要」と考えているのは、「日米韓」で北朝鮮に圧力をかけることです。なのに韓国は、北朝鮮と結託して、アメリカに喧嘩を売り、日本にも喧嘩を売る。アメリカの戦略を次々とぶち壊しているから、怒られています。

アメリカにとっては「徴用工問題」などは他人事で、興味なんかありません。
ただ、韓国が新たに日本に大喧嘩を売って日米韓の協力体制を致命的にぶち壊すことは、アメリカだって喜ばないし怒ります。
この問題についてアメリカは第三者であり、直接には興味がないので中立を保つでしょうが、アメリカの世界戦略を妨害するという意味で韓国に大きな不快感を抱くことは間違いないでしょう。

韓国は、国内的には大法院の確定判決は絶対であるうえ、反日強硬派をさらに勢いづかせることになります。しかしそれに従うことは、短期的に見てさえ資本逃避を起こして経済に致命傷となるうえ、中長期的には日米との関係が破綻します。判決に従うこともできないし、従わないこともできないという、進むも退くもならぬ状態に追い込まれました。


ちなみに、韓国はサムスンやLGといった財閥こそ強いですが、いくら財閥が強かろうと、外貨準備高が多かろうと、韓国経済最大の弱点というか爆発寸前の爆弾は個人債務です。これは、景気悪化がもろに直撃します。

日本のバブル崩壊は、株価や地価の暴落→企業の破産・リストラ→個人の生活破綻、という道を辿りました。いわば上から下に波及していきました。
韓国が壊れるときは、個人の債務不履行→金融機関の破綻→国家的デフォルト、という、下から上に向けた崩壊になります。つまり日本の場合と違って、天井からではなく足元から崩れるので、いったん崩れたら再建不能に陥ります。

日本は個人が「貯蓄」しているから、不景気になってもまだしも耐性があります。韓国は貯蓄どころか個人が借金まみれですから、不景気への耐性が弱く、下が崩れて上まで波及したら、もう建て直しようがありません。

賠償を恐れて日本の資本が大規模逃避すると、資産価値の下落を恐れて外国資本も連鎖逃避します。すると韓国そのものの資産価値が下がるため通貨が暴落し、そうなれば輸入コストが増大して物価が跳ね上がり、金利も上昇します。個人債務が大きいと、物価と金利の上昇がすぐに生活を破綻させ、個人が破綻したら、お金を貸している金融機関の不良債権が膨れあがるという構造です。

今回のことは、その個人債務という爆弾に火を付ける結果になる可能性が高いと思います。政治的な勝敗というものはいずれにしても時間がかかるものですが、それよりも先に、経済危機が訪れる可能性が高いと思います。

この破滅のシナリオを韓国が回避しようとすれば、引き金となる日本の資本逃避を食い止めるために、外交的に妥協するしかありません。

私は福祉業界の人間ですので、そっちのことでいろいろ痛感することがあります。

先日から、国や自治体が障害者の雇用率を水増ししていたことが問題になっていますが、障害者の自立を支援するためにそういった雇用枠が設定されています。
それ以外にも、障害者にはいろいろと福祉の支援があるわけですが、この国や自治体の水増し問題は、主に「障害者」を拡大解釈していたせいでした。
中には、拡大解釈では済まない、すでに亡くなった人を数にカウントしていたりもあったようですが。

さて、ここで「障害者」と「そうでない人」の区別はなんなのか、という問題があります。
簡単に考えると、身体障害者、知的障害者、精神障害者それぞれに手帳がありますから、その手帳の所有者は障害者であると。それは問題ないと思います。

ただ、福祉の業界で、一番困っている人たちは、手帳を「ギリギリ取れない」人たちではないかと思います。

手帳も、誰でも欲しい人がもらえる物でない以上、どこかで線引きをして、これだけ以上の程度の障害がなければ対象にならない、ということを明確にする必要があります。
その線引きに漏れた人はもらえない、それは仕方のないことでもあります。

しかし、線引きで「ギリギリもらえなかった人」は、限りなく障害者に近い状態でありながら、支援を受けることができません。
どこかで線引きが必要である以上、避けられない問題ではあるんですけどね。

でも、身体、知的、精神、障害はどれか1つとは限りません。
たとえば、生まれつき脳になんらかの傷を負っている場合、身体、知的、精神の障害が、重複して出現する場合があります。
特に、知的と精神の障害は重なりやすいものです。
このとき、知的と精神と、それぞれの障害程度が両方とも手帳取得にギリギリ該当しないという場合、本人としてはトータルでかなり困難な状況であるにもかかわらず、「対象外」で弾かれることになります。

知的障害については、国の統一された線引きがなく自治体の判断になりますが、たとえば、単にIQだけでなく、日常生活の自立度も加味されていたりします。
そこである程度は身体や精神の障害もカバーされる結果になりますが、それはやはり「ある程度」にすぎません。

ずいぶん昔になりますが、私の知っている例では、手帳取得よりもほんのわずかIQが高かったために療育手帳がもらえませんでした。
その人は日常生活も基本的に自立しています。
ただ、他者とのコミュニケーションにかなりの問題がありました。
といって、それが精神で手帳に該当するほどの障害でもありません。

一般枠での就労はどう見ても難しい。でも支援する制度が無い。
なら全く働けないかというと決してそうではなく、知らない人とのコミュニケーションをあまり必要としない仕事で、かつ、特に頭脳労働という面もないルーチンワーク的なものであれば、普通にできます。
別に単純作業に限定されません。複雑な作業も手順を教えればできます。手順の記憶でできる仕事なら複雑なものも問題ありません。微妙な判断を必要としなければOKです。

こういう場合、この人は働けるのに働き口がありません。
すると結局、働けるのに生活保護しか道がなくなり、社会的にも使える資源を使わないことになります。
まあ、この人の場合、知的障害に「ギリギリ該当しない」ということで、のちにもういっぺん検査を受けて今度は逆にギリギリ該当しました。そういう境界線上の人でした。

ASD(自閉症スペクトラム症候群)という障害があります。
過去にいくつかに分類されていたものを、ASDに統合したせいでかえって分かりづらくなった面もありますが、社会性の障害の総称です。
ASDには、重度の知的障害を伴うケース(昔から言う自閉症など)もあれば、全く知的障害を伴わないケースもあります。知的には秀才や天才もいます。ようは社会性の障害ですから知的にはいろいろです。

ASDの人で、微妙な知的障害があると、療育手帳にギリギリ該当せず、かつ現実的には非常に大きな困難を抱えている場合があります。
なにしろ社会性の障害ですから知能指数と無関係にコミュニケーションが取りづらい。
周囲も困るけど本人が一番困ります。
でも知的にも精神的にも該当しなかったら、現実の障害は重いのに、障害者としての支援がありません。


さてここで身体障害の話をしますが、身体障害と言っても、障害は1か所とは限りません。
足だけに障害のある人、目だけに障害のある人もいる一方、複数の箇所にわたって重複障害のある場合が多々あります。

身体障害の場合、たとえば手と足に障害があれば、別々に障害の程度を「点数」で評価し、その合計点で手帳の等級が決まります。
身体障害者手帳は1級~6級ですが、非該当の場合も、幻の(?)7級というのがあります。
7級は手帳非該当ですが、点数はあります。つまり7級相当の障害が複数あれば総合6級などに上がるわけです。

こういう制度が、身体、知的、精神に「横断的に」あればいいなと思います。

たとえば療育手帳にギリギリ非該当でも一定の点数があり、精神障害にギリギリ非該当でも一定の点数があり、合計することで該当するような。
知的と精神は重複するケースが多いだけに、必要な制度だと思います。

今の日本に、言論の自由はありますか?

日本は憲法に言論の自由を定めています。基本的には、思想・信条の自由とあわせて、自分の思ったことを表現してよいことになっています。

しかし、だからと言って何でも言っていいわけではありません。
わかりやすい例としては名誉毀損。言論の自由があっても、他人の悪評を広めて陥れる自由があるわけではありません。
それとか、いじめにも言葉が使われることがあります。パワハラ、セクハラの類も言葉が使われることが多く、「言論の自由だから何を言ってもいい」という理屈は通りません。

言論の自由とはいえ、「言っていいことと悪いことがある」わけです。


その一方で、人間には「失言」もあります。ついウッカリ「言って悪いこと」と言ってしまった場合です。あるいは、言って悪いことを言うつもりがなくても、言葉の選び方など表現が不適切で、誤解を起こして誰かを傷つけてしまうことがあります。
「そんなつもりじゃなかった」というのは、誰にでも経験があるでしょう。

そんなつもりじゃなくても、「言って悪いこと」と言ってしまった場合は、素直に謝らなければなりません。
ところが、私は今の世の中は「言って悪いこと」に対して、あまりにも不寛容だと思います。

失言をしてしまったとき、謝罪する人と、あくまで正しいと強弁する人がいます。
あくまで正しいと強弁した場合、屁理屈が上手かったり、過激な考えの持ち主が賛同したりして、あるいは「勝てる可能性」があります。一方で、謝罪した場合は自分の非を認めるわけですから、「勝ち」はありません。間違ったことを言って勝つ必要なんてない、というのが正しいでしょうが、しかし負けた時、それを世の中がどう扱うかが問題です。

「失言でした」と自分の非を認めたら、それにつけこんで「謝ってすむことか」と、無限大に責任を追及されるリスクが発生します。この不寛容さが、かえって、「強弁したら生き残れるが、謝罪したら終わり」という状況を生んでしまいます。

なんでも謝れば済むとは言いません。

ただ、特に匿名性の高い世界、現代ではネット社会も加わりますし、古くからあるのは「群衆」とかいうものも含みますが、そういうものに徹底的に叩かれます。
叩くほうは集団のうえ匿名状態ですから、失言があっても責任を負いません。そういう責任を負わない立場の人から、日常生活の憂さ晴らしのように際限なく個人攻撃を受けるリスクがあります。
なんでも謝って済むわけではありませんが、謝って済むようなことでも、バッシングの対象にされてしまいます。

そういう世の中では、常に「言葉」に気をつけないといけない。言葉を間違うと、(社会的に)殺されかねません。たしかに「言って悪いこと」を言った人間に非がありますが、そこまで言葉が狩られる社会に、自由があると言えるのでしょうか。


2001年9月11日に、アメリカで、同時多発テロが起きました。
犯行に及んだのはイスラム過激派組織で、そこからアメリカはアフガン戦争に突入しました。
9.11テロは、民間の旅客機を複数ハイジャックして、その飛行機をビルや国防総省に激突させるという信じられない方法で、多数の犠牲者が出ました。
アメリカが怒るのは当然でしょう。

この当時、私の周辺でも、このショッキングなテロの話題でもちきりでした。

私はその時、こういうことを言いました。

「民間人をこんなに巻き添えにするテロは、どんな理由があっても絶対に許されない行為だ。ただ、イスラム過激派がアメリカをそこまで憎む背景には、アメリカがイスラエルびいき過ぎて、アラブに不公平という事情もある。テロは絶対に悪いが、アメリカも正義の味方じゃない」

これはリアルでの発言ですが、周囲の同僚に猛烈にバッシングを受けました。「テロ擁護」と言われました。
私は大前提として「テロは絶対に許されない」と前置きしたので、そこをもういっぺん強調して「テロは絶対に悪いが、背景の話としては…」と説明しましたが、アメリカのことを少しでも悪く言うのは許されないということで、まわりの人(事件とは何の関係もないんですが)に謝罪させられました。

テロ犠牲者の遺族の前で言うのは不謹慎でしょうが、まるっきり関係ない場所で、テロの起きた背景分析として言ったことまで、許されなかったんです。

世界史、あるいは世界情勢を少しでも知っていたら、アメリカがイスラエルびいきでアラブ諸国に冷たい不公平な国であることなど、常識です。
そして、イスラム過激派がアメリカを恨む理由も、そこにあることは明白です。

たとえば、地下鉄サリン事件に関わった人には、高学歴の、能力的には「優秀な」人が多数いました。そんな人たちが、なぜこんな犯罪に手を染めてしまったのか…それを考えるときに、社会のこういう部分に矛盾があったからじゃないか、というような分析があるでしょう。

そういう分析をした人は、社会が悪だからサリン事件は悪くなかったと主張したことになるんでしょうか。
私は、アメリカの不公平な態度が9.11テロの背景にあると言っただけで、テロ行為は明確に否定したのに、テロ肯定論者と言われました。

世論が集団心理的にどっと一方に向けば、それとは異なる意見の存在は許さないという形になります。

実は私、小池知事が都知事に当選した直後、「小池さんに実際どれだけのことができるか疑問」という発言をネット上でしました。当時は小池ブームの真っ最中。猛烈にバッシングされましたよ。
今、世論は180度変わって、どこを見ても小池批判です。
小池さんの力量に「疑問」を投げただけで私をバッシングした連中は、今はどういうことを言ってるんでしょうか…。


メジャーに反する意見を許さない世の中、そしてどこまでも責任を追及される世の中に、言論の自由があるとは私は思えません。

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